高麗人参で行うジプシー農法とは

ジプシー農法とは

ジプシー農法とは、高麗人参を育てる際に行う農法のひとつです。通常、野菜や植物を育てる場合、同じ畑で繰り返し種まきや収穫を行います。しかし、高麗人参の場合は一度使用した畑を再利用しても上手く栽培できないため、まだ高麗人参を育てたことのない新鮮な土地を転々としながら行う必要があります。このことをジプシー農法と呼びます。
ヨーロッパを中心に地域を転々としながら働いていたジプシーとよばれる民族をイメージさせるため、この名前がついたといわれています。

なぜジプシー農法が必要なのか

高麗人参は他の野菜や植物と違って、何年もの歳月をかけて土の中でじっくりと育てる必要があります。
一番栄養価の高い高麗人参を作るには、6年間育て続ける必要があり、その間に土の中にある栄養を余すところなく吸い取ってしまうという特徴を持っています。
また、高麗人参を育てる際には、直射日光が当たらないように畑を覆う必要があります。しかし、長年直射日光が当たらない土は害虫などもつきやすく、植物にとって悪い菌も発生しやすくなります。最初は良い土地だったとしても、高麗人参の収穫が完了すると、質の悪い土地へと変化してしまいます。

そのため、高麗人参を育てた土地はその後どんな野菜や果物を植えても、栄養不足や環境の悪さが原因となり育てることができないといわれています。もし、他の野菜や果物を育てたい場合や、もう一度高麗人参を育てたい場合は、数年その土地を休ませる必要があります。
以上の特徴を持つことから、高麗人参に関しては土地を転々として栽培する必要があるのです。

ジプシー農法を使ったとしても手間がかかる

ジプシー農法を採用しているからといって、簡単に栽培ができるわけではありません。新しい土地を見つけたら、まずは高麗人参の栽培に適した土へ改良する必要があります。
殺菌を徹底的に行い、そこで一旦トウモロコシを育てて、栄養が豊富にある土地へと整えていきます。この作業に必要な歳月は2~3年です。そして、トウモロコシを回収したあとで、ようやく高麗人参の種を蒔くことができます。

種まきを行った後も引き続き、注意深く育てる必要があります。水分不足を避けるのはもちろんのこと、直射日光をできるだけ避けるための工夫や害虫の駆除なども徹底して行い、それを6年続けてようやく栄養満点な高麗人参の収穫が可能になるのです。

ジプシー農法を使った農法は、手間がかかる上に新しい土地探しも行わなくてはいけないため、効率の悪さが目立つという点がデメリットとして挙げられます。
しかし、技術の進歩により、最近では短いサイクルの中で、同じ土地を利用して栽培する方法なども研究されています。ジプシー農法以外の手段もいくつかあるため、全ての高麗人参がこの農法を行っているわけではありません。

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